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母 信子

「お前たちを殺すことはできない。
俺の分まで生きてくれ」との、夫の別れ際のひと言に、今日まで背中を押されて生きて来た。
今でも、去っていく……あの後ろ姿が忘れられない。
平成に入り、和子は84歳になった母信子を誘い、オホーツクへ旅に出る。
そこで母は、堰を切ったように、満州の記憶を話しはじめる。
信子が娘に語った戦争の記憶をもとに綴られる、明治から令和まで5つの時代を生きた、4世代110年にわたる女たちの物語。




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