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90歳を生きること

「思えば遠くへ来たもんだ」という歌があるが、まったく「思えば長生きしたもんだ」である。
太宰治は「生れて、すみません」とか「恥の多い生涯を送って来ました」と言っていたが、私にもその感がある。
フーテンの寅さんのせりふに「それを言っちゃあおしまいよ」というのがあるが、私はいまもその「おしまい」ばかりやっている。
夜は自己嫌悪と自責の念で七転八倒、身もだえしている。
講演の時に「ペンネームの童門は、ろくなことをしないので、ドーモスイマセンの意味です」と言って笑いを取っているが、そう言いながら「本心だ」と思うことがしばしばある。
そういう繰り返しをしながらも私がしぶとく生きてきたのは、「いてもいいだろこんな奴」と、反省のたびにつぶやいてきたからだ。
***本書は、90歳になっても「生涯現役、一生勉強」をモットーに作品を書き続ける歴史小説家が自身の体験をもとに描いた、年をとるほどに人生が楽しくなる痛快エッセイです。
ワイシャツの袖のボタンをはめるのに20分かかる。
前立腺肥大、白内障、脚力の衰え…、カラダのほうも不調が続く。
後期高齢者ってつらいなあとつぶやきながらも、歴史だけでなく、市井の人々からも学び続ける「生涯現役、一生勉強」の姿勢に、後期高齢者でなくても、毎日をたくましく生きるヒントがもらえます。
「生涯現役、一生勉強」──、学ぶことがあるから人生は面白い。




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