日本史上類を見ない泥沼の長期戦となり、京中を焼き尽くすに至った応仁の乱。<br />『応仁記』は、乱が終結してほどなく書かれたとされる軍記物である。<br />作者は現在も未詳だが、戦乱勃発の背景から文明5年(1473)の山名宗全の死に至るまでの過程を克明に描いたその筆致は、「あの戦いはいったい何であったのか」という、当時の人々が抱いたであろう虚無感を現代にまで伝えている。<br />応仁の乱を知るうえで欠かせない、貴重な第一級史料。<br />