古事記は、律令国家の由緒を描く史書として読まれてきた。<br />だが、こうした理解には根本的な誤りがある──。<br />日本書紀には存在しない「出雲神話」が必要とされたのはなぜか。<br />どうして権力にあらがい滅びた者たちに共感を寄せるのか。<br />この作品の成り立ちを説く「序」は真実か……このような疑問を通じ本書は、「国家の歴史」以前から列島に底流する古層の語りとして、古事記をとらえ返す。<br />それにより神話や伝承の生きた姿、魅力がよみがえる。<br />古事記の世界を一望に収める入門書の決定版。<br />