旅に病んで夢は枯野をかけめぐる──松尾芭蕉、最後の句として知られる死の四日前深夜の「病中吟」である。<br />日々旅にして旅を栖とした俳聖の、最期のイメージに相応しい。<br />けれども実はその翌朝、弟子二人を枕頭に呼び「清滝や波に散り込む青松葉」を遺している。<br />「改作」というのだが、これこそが辞世の句である。<br />「不易流行」「軽み」そして最後の一句へと、境涯深まる芭蕉最晩年の五年半に焦点を当て、その実像に迫る。<br />