乱歩とモダン東京 ――通俗長編の戦略と方法
江戸川乱歩の作品は、戦前の同時代においては「通俗長編」で圧倒的な人気を集めた。
『蜘蛛男』に始まる『黒蜥蝪』『魔術師』『吸血鬼』『人間豹』『黄金仮面』のような怪人対名探偵明智小五郎の冒険活劇である。
そこには乱歩の密かな戦略があった。
大衆読者のあこがれをかきたてるような1930年代のモダン東京の華やかな部分を活写し、見事に作品展開に生かしたのである。
これまで研究されてこなかった通俗長編の中に、大衆の心をつかむ仕掛けとしての大東京の描写を読みといていく。
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