「社会学部はあっても世間学部はなくて、世間そのものは厳然としてあるのだった。<br />世間は学問のレベルをはるかに超越した虚空にあるものと思えた」。<br />若き日に学んだ「世間」、万華鏡のように千変万化する文士的「世間」、夫婦の、老人の…変遷するこの不可思議なものを追いながら、巷に潜む「世間」を描く。<br />博識と豊富な経験とユーモアが横溢し、熟達の筆が明らかにする「世間」の姿とは。<br />