認知症で、寝たきりになった母を前に自分に問う。<br />「自分は、なぜ今の自分になったのか?」。<br />人生の節目で誰もがふと感じるこんな疑問に、精神科医が自らの生育歴をもとに分け入る。<br />母と息子の関係、介護をめぐる精神的葛藤、育った街、時代背景や当時の文化など、幅広いテーマに思いを巡らせつつ展開される、異色の心理エッセイ。<br />母の病状の進行と逆行するように思い返される家族の記憶、かつての母の姿。<br />問いの答えは?