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贈与の系譜学

何かを贈ること、プレゼントすることは、日常誰もが行っている。
本書は、この「贈与」という行為に注目し、それがどこから生まれ、どのような機能をもってきたのかを探り、いかに人間の本質と結びついているのかを明らかにする。
贈与の起源を遡れば、それは〈宗教的なもの〉の発生と不可分だと考えられる。
みずから働いて産み出した富――遊牧民や牧畜民なら羊など、定住農耕民なら小麦や葡萄などを「犠牲(サクリファイス)」として神々や精霊に捧げること。
そこには祝祭の空間が生まれ、やがてそれは共同体を支える制度となった。
これは現在も「祭り」として目にすることができる。
一方で、贈与は他の人に何かをプレゼントすることとしても現れる。
歴史を振り返ると、その源には窮境にある人に自分の富や財産を贈る行為がある。
これは今も「寄付」などの行為に見られるものであり、美徳とみなされることが多い。
このように、太古の昔から現代に至るまで、人間は贈与という行為に価値を見出してきた。
では、なぜ贈与には価値があるのかといえば、自分にとって大事なものを手放して与える行為だからである。
ところが、誰にとっても最も大事なものとは何かといえば、自分に固有のもの、自分の唯一のものだが、それは手放してしまえば自分が自分でなくなるものであり、つまりは原理的に贈与できないものだと言わざるをえない。
これを逆から見れば、贈与できるものとは「交換可能なもの」であることになる。
それゆえ、いかなる贈与も時間が経つうちに「見返り」を暗に要請するものとなり、「交換」になってしまう。
だとすれば、純粋な贈与とは不可能なのか。
不可能だとすれば、そもそも贈与という行為の価値そのものが揺らいでしまうのではないか――。
本書は、数々の定評ある著作をものしてきた著者が長年にわたって取り組んできたテーマを正面から取り上げた、「集大成」と呼ぶべき渾身の論考である。
今失われつつある「思考すること」の真の姿が、ここにある。
[本書の内容]第I章 古代思想における〈正しさ〉第II章 初期キリスト教における〈正しさ〉1 神との内的関係を重く見ること2 カントの実践哲学3 キリスト教に対するニーチェの評価と批判第III章 原初の社会における贈与的ふるまい1 〈贈与というかたちを取る〉物の交流・交易2 贈与的なふるまいの両義性3 贈与的次元を含む運動、それを打ち消す動き(再-自己所有)第IV章 贈与をめぐる思索1 贈与的ふるまい2 贈与、サクリファイスと模擬性=反復性3 苦難の時そのものが新たに、未知なるものとして生き変わること4 不可能なものという試練




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