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戦国大名の経済学

兵士の装備一式70万円、鉄炮1挺50万円、兵糧米代1000万…1回の合戦の費用はしめて1億!「銭がなくては戦はできぬ」戦国時代はその名の通り、日本全国が戦乱に明け暮れていた時代でした。
しかし戦争は、単に個々人が武力に優れていさえすれば勝てるようなものではありません。
なによりも必要とされたのはお金です。
刀、甲冑、そして新兵器、鉄炮から馬にいたる武器・装備品に始まって、後方兵站への非戦闘力の動員にいたるまで、先立つものはまず「お金」。
お金がなければ戦争など、できうるべくもなかったのです。
そのため戦国大名は平時から、自領内での経済力の増大に、つねに意を注がなければなりませんでした。
農作物を安定的に収穫するための治水事業や、流通を潤滑にするための道路整備などのインフラ整備、「楽市・楽座」令による経済の活性化、金・銀・銅などを獲得するための鉱山開発、さらにはこの時代に初めて我が国に登場した、ポルトガルなどの海外交易に至るまで、あらゆる手段を講じて「富国強兵」に励んでいました。
資料に限界があるために、当時、個々の案件にどれほどの費用がかかったのかを算出することは難しく、専門家が書いたものとして1冊の新書全体でこの問題を扱ったものは、現在、ほぼ皆無に近い状態です。
本書は、戦国時代の経済の専門家があえて蛮勇をふるい、この問題に挑むものです。




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