山に富み、森林に覆われ、海に囲まれた列島。<br />そこに棲む日本人は自然の恵みを享受し、生計を立て、カミに礼を尽くしては人生の節目とした。<br />また、参詣・巡礼に言寄せた遊山や漂白・旅の渡世は、楽も苦も味わう深さをもたらした。<br />近世に固まったそうしたスタイルは、しかし高度経済成長期を境に変容を余儀なくされる。<br />見失われた日本人の暮らしと人生の豊穣はどんな形だったのか。<br />民俗学者がフィールド観察と研究の蓄積をもとに語る。<br />