教育は変えられる
「みな同じ」の一斉教育から、「みな違う」を前提とした、子ども一人一人にカスタマイズされた、「みんなを伸ばす」教育へ。
明治以来の教育システムを根本から変える、本当の意味での「これからの教育」。
その基本的な考え方と、具体的な実現方法を、著者による東京都杉並区の取り組みを通じて提案する。
「教育は、変えられる」――今、私は、そう確信しています。
「そんなこと、できるわけがない」こう言うと、すぐにそのような反応が返ってくることが予想できます。
けれど、考えてもみてください。
広がる学力格差。
増加するいじめ。
減らない不登校。
拡大する特別な教育ニーズ。
そうしたことの総体として機能せずに荒れる学級……。
教員の過酷な労働の原因にもなっているこうした教育の問題がいまや限界に達していることは、誰にも否定できないはずです。
では、どうすればよいのか。
私は、杉並区教育委員会のスタッフの一人として、ある、「そもそも」を問い直すことから始めました。
「そもそも、教育は何のためにあるのか」その答えは、とてもシンプルなものです。
「自らの道を拓く『自立』と、誰もが共に生きる『共生』のため」「自立と共生のための『学び』を、『すべての人』に届けるため」自立と共生は、「支え合い」の関係にあります。
誰もが共に生きられる世界があればこそ、すべての人が自分の道を拓くことができます。
自分の道が拓かれていく実感の中でこそ、すべての人が共に生きることのできる世界の大切さが分かります。
そう、教育には、公的な機関が携わることで、すべての人が学びの機会を確実に得られるようにし、一人一人が自らの道を拓けるようにする意味と、みんなが共に生きられるようにする意味があります。
この二つの意味を、分かつことなく支え合うようにして満たすこと。
それが、教育の目指すところなのです。
(「はじめに」より)
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