やさしくない国ニッポンの政治経済学 日本人は困っている人を助けないのか
―「政府は貧しい人々の面倒を見るべきか?」これは、世界47ヵ国を対象にして、アメリカのピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が2007年に行った調査に含まれる質問の一つです。
この質問に「面倒を見るべき」と答えた人の割合が最も高かったのはスペインで、実に96%にのぼりました。
では、その割合が最も低い59%だったのは、どの国でしょう?――それが、日本にほかなりません。
つまり、約4割の日本人は、貧しい人や困っている人を自分で助けないばかりか、公の力で助けることにも同意していないのです。
では、次の質問はどうでしょう?-「社会の多くの人は信頼できるか?」これは、2019年に行われた第7回「世界価値観調査(World Values Survey)」にある質問です。
この質問に「信頼できる」と答えた人の割合は、オランダでは58.5%、ドイツでは41.6%だったのに対して、日本では33.7%。
しかも、「信頼できるか」どうかの対象を「他国の人」に変えると、オランダの15.4%に対して、日本は実に0.2%、という驚くべき結果になります。
つまり、日本人は日本人同士でも信頼していないし、他国の人はほとんど信頼していない、ということです。
本書は、こうしたさまざまな調査の結果を紹介しながら、「おもてなしの国」と言われ、自分たちでもそう思っている日本人が、本当は「やさしくない」ことを明らかにします。
この「やさしくない国」をもたらした歴史的・社会的な要因を探ったあと、このまま進んでいった先にはどのような国が待っているのか、その姿が浮かび上がってくるでしょう。
すぐに「自己責任」や「自助」が叫ばれる現状を変えるには、どうすればよいのでしょうか。
長年ヨーロッパで教育・調査に携わってきた気鋭の著者がクリアに描く日本の姿と、明るい日本を実現するための方策――本書には、確かにこの国の「今」と「未来」があります。
[本書の内容]序 章 人にやさしくない、貧しい国ニッポン第1章 他人を信頼しない日本人第2章 そもそも、なぜ人は他人を助けるのか第3章 日本人の社会参加第4章 利己主義の社会的帰結第5章 日本はベーシック・インカムを導入すべきか
更新中です。しばらくお待ちください。