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時間はくすり

「ありがたい話なんて、何もでてきませんよ?私は、ただの薬剤師ですから」そんな飾らない第一声とともに、白衣姿の薬剤師がゆっくりとした足取りで現れた。
東京下町のとある一角、大正12年創業のその薬局と同じ年齢の、おばあちゃん薬剤師、それが比留間榮子さんだ。
雨の日も風の日も、猛暑も大雪もものともせず、日々、薬局に立ち続け、お客様に手を添え心を重ねること75年。
かけるひと声、添えるその手が「榮子先生に会うだけで元気が湧いてくる」「来るたびに握手をして、パワーをもらえる」と地元で評判の薬剤師。
そんな彼女が、薬とともにそっと手渡してきた「言葉のくすり」。
権威ある称号も名誉な勲章もないけれど、ただひたむきに、目の前のひとりに心を重ねる長い年月が調合した、自分にも誰かにも、少しやさしくなれる処方箋。
(イントロダクションより)




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