「妻より先に死にたい」「死ぬならがんで死にたい」最初は自分が死ぬときに備えて、書き残すためのメモ書きに過ぎなかった。<br />「余命1年」の宣告が、妻に告げられるそのときまでは。<br />「がんでない可能性」という気休めにもならない医者の言葉とは裏腹に、妻はだんだんと弱り、受け入れたくなくても受け入れざるを得ない現実に直面する。<br />これは、所詮赤の他人が書いた看取りの記録、ではない。<br />誰にでも起こる悲劇である。<br />決して目をそらしてはならない、大切な人を看取ることの現実がここにはある。<br />