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銀色万年筆

日々の小さな変化の気配を大切に綴られたエッセイ集。
なんとなく好き、気になる、そしてなぜか切ない……。
そんな見過ごしてしまいそうな日常のひとコマをやわらかな視点で鋭くとらえた随想録。
著者は、呼吸をするかのように、日々興味をもったことについて考え、気付いたことをメモし、文章にする。
例えば、ハレの日の酒やふくらみ始めた梅のつぼみのこと、仕事先で出会った若者や年老いた母のことなどを感慨深く振り返る。
そして日常とは、昨日と今日と明日の単なる繰り返しではないと認識する。
だから、「慣れ」とか「それらしく見える」ことに安心していては、日々はちゃんと積み重なっていかないのではないだろうかと考える。
著者にとって、生きることは感じて考え続けることであり、表現することだった。
「ありふれた日々こそ愛しいのだ」と気付かせてくれる一冊。




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