少女が見た1945年のベルリン ――ナチス政権崩壊から敗戦、そして復興へ
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戦争の悲惨さを伝えるドイツ発のグラフィックノベル市民が空爆にさらされるウクライナ。
77年前のベルリンでも同じ光景があった。
本書は、クラウス・コルドンの長編小説『ベルリン1945 はじめての春』(岩波書店)を原作としたグラフィックノベル。
第二次世界大戦の末期を生きる少女の物語である。
廃墟と化したベルリンで、恐怖と絶望を強いられながら平和を待ち望む人びとが市街戦を生きのびたようすを描いている。
クラウス・コルドンの「ベルリン3部作」は、それぞれ1918年、1932-33年、1945年という、ドイツ近代史における3つの重要な転換点に直面したある家族の暮らしが描かれている。
この作品で特筆すべきは、物語で採用されている視点で、子どもや若者の目から歴史的な出来事を語り、主人公ゲプハルト家の生活を焦点を当ててストーリーを展開させているところだ。
本書ではこの3部作のなかから、わたしたちの時代にもっとも近い3作目を原作として取り上げている。
幼いころや10代のころに終戦を経験した多くの人たちは、すでに孫がいる年齢となり、悲惨な戦争の記憶を新しい世代に伝えようとしている。
作画のクリストフ・ホイヤーは、絵の細部にまでこだわり、綿密な調査にもとづいて、当時のベルリンを忠実に再現した。
街は瓦礫に埋もれていたが、エネのような子どもたちは、破壊された国の希望だったのだ。
本書では、ベルリンで暮らす人びとの惨状だけでなく、出征していた家族や隣人、脱走兵、ナチスの少年兵、強制収容所の生還者、地下活動家、ソ連兵といった登場人物が、独ソ戦、ヒトラー政権、親衛隊(SS)の横行、強制収容所での過酷な生活をそれぞれ語る。
当時のドイツを取り巻いていた歴史的背景が把握できる。
市民が空爆にさらされている、現在のウクライナと同じようなことが77年前のベルリンでも起きていた。
[あらすじ]1945年春のベルリン。
連合国軍が最後の空爆をおこない、地上ではソビエト連邦の赤軍が迫っていた。
この街で暮らすエネは12歳。
生まれてまもないころ、ナチスの共産党弾圧で両親が逮捕されたため、育ててくれた祖父母のもとで終戦やソ連軍の進駐を経験する。
戦争のないはじめての春が訪れたある日のこと、ひとりの男が家の前にあらわれた。
それはブーヘンヴァルト強制収容所から生還した、エネのお父さんだった。
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