皇極四年(六四五)、中大兄皇子と中臣鎌足は蘇我蝦夷・入鹿父子を武力で排除した。<br />この乙巳の変が国政改革「大化改新」の序幕だったという筋書きはあまりにも有名である。<br />だが、これに関して残された史料は中大兄・鎌足中心に事件を描く極めて偏ったものだった。<br />クーデターの真の目的は何か。<br />その首謀者は誰だったのか。<br />本書は、王位継承をめぐる路線対立に着目して旧版を大幅改稿し、熾烈な権力闘争の内実に迫るものである。<br />