なぜシブヤの小学2年生はタブレットを使いこなせるのか? ―非カリスマ型リーダーのICT改革戦略―
渋谷区の全小中学校の児童・生徒にタブレット一人一台貸与が始まったのは2017年(平成29)年9月のことです。
あれから4年。
今では、誰もがどこでも使えるLTE回線を使用した「渋谷区モデル」は、全国に知られるようになりました。
私は全国に名の知られる、いわゆる「カリスマ教育者」ではありません。
パソコンについては当初、ワードとエクセル、パワーポイントくらいの知識しかありませんでした。
後述しますが、渋谷区は都会のど真ん中にあるものの、繁華街を一歩抜けると落ち着いた住宅街が広がっています。
いわゆる受験に強く、特別な教育を行う「有名公立校」が集まっているわけではありません。
また、渋谷区の教育現場も当初は特段ICT教育推進を受け入れやすい土壌があったわけでもありません。
教師たちは日々の授業研究と校務に精いっぱいで、新たな試みを受け入れる余裕を持ち合わせていないことは、渋谷区でも変わらなかったのです。
現在、渋谷区はICTの先進自治体として、全国からの視察が止みませんが、もし、そこに私が貢献できたことがあったのだとしたら、地味ながらも、誰もがある程度納得し前向きに「やってみよう」と思えるような方針や施策を打ち出せたことにあるのではないかと、振り返っています。
GIGAスクール構想で1人1台の端末環境が実現した今、「いきなりタブレット」に戸惑っている校長や副校長、教師の方々、教育委員会の方々が多くいることでしょう。
そんな皆さんに、私の経験が「学校デジタル化」促進のヒントになれば幸いです。
(本書「はじめに」より)
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