人権の哲学
★講評・宇野重規(東京大学教授)「人権の哲学」とはあまりに大きなテーマと思われるかもしれない。
言うまでもなく、人権に関して、その普遍性や歴史をめぐって数多くの議論が積み重ねられてきた。
さらに、憲法学や法哲学、政治学や倫理学などの分野において、個別の思想家や理論家、あるいは学派についての研究も数多くなされてきた。
しかしながら、本書が注目するのは、人が人であるがゆえに持つ権利である人権についての哲学的な根拠である。
特に近年の英米圏の政治哲学における、人権の正当化根拠をめぐる「政治的構想」と「自然本性的構想」の対立に焦点を定めている点に最大の特徴がある。
選考にあたっては、膨大な先行研究を丹念に整理し、自らの立場を明確に示していることが高く評価された。
(中略)人権を根拠に「人道的干渉」が行われる現在、人権をめぐる議論がますますグローバルな文脈で展開されるようになっている。
本書の理論的示唆はもちろん、実践的示唆もきわめて大きい。
多くの方に読んでいただけることを期待したい。
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