植草甚一WORKS
人間の理性が回復されるさまを、目前で観察出来るという機会は、滅多にあるものではない。
この映画に登場する十二人の陪審員たち、珍しく婦人陪審員が加わっていない評決であるが、これらの陪審員たちの幾人かが、その性格によって、あるいは先入観によって歪められた理性を露呈し、その理性が、評決の最終段階にいたって、本来の人間性へと回復する瞬間、この「十二人の怒れる男」という映画は、その役割を果たしながら、滅多にない機会をあたえてくれるのである。
(本文「十二人の怒れる男」をいかに鑑賞すべきか より)
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