品行方正、学力優秀な女の子『星空 綺麗々(ほしぞら きらら)』には、とある悩みがあった。――それは自分の名前。「可愛い名前だね」なんて言って褒めてくれる友人もいたが、ほとんどのクラスメイトは「変な名前」だと思っていたに違いない。綺麗々は、元暴走族の父親を恨めしく思っていたのだった。「早く親元を離れて、一人で暮らしたい……不良や暴走族なんて、いなくなればいいのに……そうすれば、わたしと同じ、こんな思いをする人なんて……」風見学園の本校に上がった綺麗々であったが、新しい生活に胸躍らせる気分になどとてもなれない。毎年毎年拷問でしかない新クラスでの自己紹介を想像して、沈んだ気分で歩いていると、廊下に掲載されていた怪しい新聞に目を奪われる。――初音島学生風紀連盟、個人加盟者求ム――『正義感の強いそこのあなた!素敵な仲間と共に、初音島の風紀を守りませんか?』女性1名 バス・トイレ付き専用寮アリマス――「こ、これだわ!」怪しい新聞に書かれた住所に向かって走り出す綺麗々。星空綺麗々と桜刻館の住人たちの、大騒ぎでどたばたで、とっても非常識な――でもほんの少しだけ切ない物語が静かに幕を開けたのだった。