その島の中心に位置する一大遊郭、吉原だけは、いつの時も、美しく煌びやかであった――。この島に男は生まれぬ。ゆえに、島に生まれた女は、年頃になれば、男を求めて吉原を訪れるさだめであった。豪商の娘である貴女も例外ではなく、女の務めとして、用心棒の「竹ノ内 武蔵」に案内され、吉原へ足を踏み入れる。今宵は「初会」。豪奢な宴が催され、この世とは思えぬほどに美しい男たちがずらりと並ぶ。この中のいずれかとちぎりを交わし、一夜、偽りの夫婦とならなければならない……。そう思うと、貴女の心はかき乱される。隙のない洗練された所作と、皆々を蠱惑する瞳。これが廓の男の手管だろうか――。訝しみながら、惹かれながら、長い長い一夜を終えて、ちぎりを交わすのは――。 『逆転吉原?菊屋編?』はコチラ 特集: D3 PUBLISHER特集