孤独を好物にする‘つちんこ’と少女の物語。母の離婚をきっかけに祖母の住む離島に預けられることになる少女。そこは、毎年夏になると家族で出かけた思い出の多い島だ。複雑な思いをかかえて、島に降り立つと、「シャッ、シャッ、シャッ、シャッ」無気味な笑い声を立てて、つちこんこが、現れた。「もしかしておいらのこと、見えてるのか?」どこからともなくやってくる‘つちんこ’。「あなた、ナニモノなの?」「うーーん、おいら、ナニモノなのか……」孤独につぶれそうになっている子どもの前にだけ現れるのが、座敷童ならぬ‘つちんこ’だ。家族のことで不安な気持ちをかかえる少女と、うさんくさいつちんことの、不思議な物語。