きっと、同じ光を見ている。もう二度と会うことはなくても。月の光でできた虹がある。そのほのかな光は、カメラに映ることはない。「白虹ですね」「はっこう…?」「白い虹って書いて、はっこう。虹の一種です」いわれのないパクリ騒動で炎上した漫画家・六連涼(むつらすず)。散々にたたかれ、同棲相手もそんな仕事をやめたほうがいいんじゃないか、と勧められる。こんなはずじゃなかったのに。公私ともに行き詰まった日々。もうすぐ30歳を迎えようとしているとき、既婚の編集者・桐野への恋心に気がつく。「私、仕事を辞めて結婚することになると思います」「辞めるって…漫画をですか?」破り、破られるものは何なのか。カメラには映らない淡い光が、それぞれの答えを導き出す。Novel Jam 2017 出場作品