【人と呪いの因果を描く、正統派ダークファンタジー小説】 王国主催の武闘大会に優勝すれば、王宮聖騎士団への入団が許可される。非正規の警備兵である青年リュートは、準決勝までは無類の強さを見せつけるが、決勝戦では人が変わったかのように惨敗を繰り返していた。そんなリュートを「無冠の勇者」と称える者もいれば「肝心なときに弱い小心者」と嘲笑う者もいる。 ある日、遺跡探索の護衛を依頼したいと、骨董店の店主を名乗るカラルという男がリュートの前に現れた。行き先は原因不明の事故や失踪事件が続く魔の海域であったが、王国の正規軍が調査に乗り出しているという話があり、「手柄をあげれば聖騎士団に推薦されるかもしれない」と依頼を受けることにした。 たどり着いた島でリュートが目にしたのは、見るも無残な死体の数々だった。