僕が迷い込んだのは、「大地の秩序」が乱れた世界――三崎亜記のすべてが詰まった傑作ファンタジー!故郷に帰るバスに乗ったユーリが迷い込んだのは、遠近の概念が狂った世界だった。ここでは、目の前に見えるものがそばにあるとは限らず、屋外に出ればたちまち道に迷ってしまう。街の人々に教えられ、ユーリはこの世界のことを少しずつ知っていく。私生活のすべてを犠牲にして、この世界の道筋を記憶する女性「ネハリ」。不死の「渡来人」。砂漠の先にある「分断線」。人間と決別し、野生に戻った本たちと「本を統べる者」。そして、通り過ぎる街の人々を連れ去っていく「鼓笛隊」。全滅の危機に瀕した街のために、ユーリは立ち上がる。この世界にあるはずのない「30センチのものさし」を持って。