「十年に一人の逸材」と言われる女性判事と、哀しき偽証で真実を隠し通した元服役囚。恋で終われば、この悲劇は起きなかった。これほどの純愛を、人は醜聞という--。「--まさか、誰かをかばっている? 」男が法廷で隠し通した哀しい真実とは?女性判事・片陵礼子のキャリアには、微塵の汚点もなかった。最高裁判事になることが確実視されてもいた。そんな礼子は、ある男のことが気になって仕方ない。かつて彼女が懲役刑に処した元服役囚。近頃、裁判所の前に佇んでいるのだという。判決への不服申し立てなのか? 過去の公判資料を見返した礼子は、ある違和感を覚えて男のことを調べ始める。それによって二人の運命が思わぬ形で交わることになるとも知らずに……。