今年進学した高校の入学式が三回あったことを、選ばれなかった一日があることをわたしだけが憶えている。そんな壊れたレコードみたいに『今日』を繰り返す世界で……。「相沢綾香さんっていうんだ。私、稲葉未散。よろしくね」そう言って彼女は次の日も友達でいてくれた。生まれて初めての関係と、少しづつ縮まっていく距離に戸惑いつつも、静かに変化していく気持ち……。「ねえ、今どんな気持ち?」「ドキドキしてる」抑えきれない感情に気づいてしまった頃、とある出来事が起きて――。恋も友情も知らなかった、そんなわたしと彼女の不器用な想いにまつわる、すこしフシギな物語。電子版限定、特典ショートストーリー「調理実習・オブ・ザ・デッド」を収録!※電子版は紙書籍版と一部異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください