受け継いだ会社は、目の前の注文をこなすことに精一杯で長期的な目標を見いだすことができず、成長の展望もないような状態でした。今すぐにでも会社を変革・再生し、社員が自ら考え動くような体制を整備するために必要なものは、組織を一つにまとめる軸、つまり理念だったのです――。------------------------------------------------------------------著者の父である先代社長は自他ともに認めるワンマン経営で、北陸の小さな段ボール会社を中堅企業にまで大きく成長させました。しかしリーマンショック後、そのワンマン経営にほころびが出始めます。他社が生き残りをかけて懸命に知恵を絞り戦っているなか、社員はトップからの指示待ちばかりで、どんぶり勘定やマニュアル営業、工場ではミスが多発するなど危機感も進歩もありません。幹部社員さえもそれらを改善するといった発想すらもち合わせていない状態でした。このままでは会社は潰れてしまう、今すぐにでも会社を変革・再生し、社員が自ら考え動くような体制を整備しなければならない――。そう考えた著者は経営について学び続けるなかで、たった一つサクラパックスに足りないものがあることに気づきます。それが本書のテーマである、組織を一つにまとめる軸、つまり「理念」です。その後、幹部社員50人と徹底的に議論を行い経営理念をつくりあげ、一人ひとりの行動に落とし込むためにあらゆる機会に話し合いました。そのような地道な取り組みを続けること約10年、サクラパックスは理念の実現のために社員一人ひとりが主体的に考え行動する組織へと生まれ変わることができたのです。社長就任時の売上は約65億円でしたが2020年は約94億円まで拡大するなど、変化は数字にも見てとることができます。先代社長からの引継ぎをきっかけに孤軍奮闘してきた著者の取り組みから、組織改革のヒントを得られる一冊です。