2009年における日本の上場企業の平均実効税率は89.5%であった(日本経済新聞調べ)。日本企業の国際的な競争力を高めるために、政府は日本の法人税の法定実効税率(現在約40%)の引き下げを検討しているが、企業の経営努力が伴わなければ、日本企業の実効税率は低下しないだろう。一方で日本の財政状態を考えると、「税収の確保」は避けられない課題である。本書はそんな二律背反する命題を解くためのヒントを与えるものである。タイトルの「永久差異」とは、税効果会計と呼ばれる会計手続きで用いられる用語であるが、本書では、会計と税務の‘差異’、欧米と日本の税金に対する考え方や節税の手法に関する‘差異’、さらには、組織運営の‘差異’と 、様々な‘差異’の説明をしている。これらの‘差異’が‘永久差異’とならないことの警鐘の意味が込められている。