粘菌 知性のはじまりとそのサイエンス
「森のなかの美しい宝石のような生物である粘菌には、宇宙の大不思議が宿っている。
その粘菌が、いまや21世紀の知的探求の最前線に立とうとしている。
かつて我が南方熊楠は、粘菌のなかに生命現象の原基を見出そうとしたが、現代の生物学は、さらに粘菌のなかに知性活動の原基を見出そうとしている。
この本は胸躍る粘菌研究の最前線から届けられた、こよなくチャーミングな報告書である。
」 中沢新一氏 推薦!! 脳や神経をもたない単細胞生物でありながら、外的刺激に対して複雑な行動様式を示す粘菌(変形菌)。
その特異なふるまいは、コンピューターサイエンスや人工知能研究の黎明期から科学者たちを悩ませてきた「単一始点最短経路問題」に最適な解を与えうる能力をもつことで注目を集めた。
この驚くべき生物が、どのようにして無数の色や形へと変身をとげるのか、その体内でどのような化学反応がおき、多様な行動・判断を生み出しているのか、その情報処理システムには、まだ多くの謎が残されている。
本書は、サイエンスドキュメンタリーフィルム『The Creeping Garden』の製作を通して、2人の英国人がどのように研究を深めていったかを描き出す。
その過程で粘菌研究の歴史や、現在第一線で活躍する科学者たちの研究をふまえ、粘菌を応用したコンピュータや人工知能、ウェアラブルデバイスなどの取り組みについても紹介。
巻末には、粘菌を活用した研究で2度のイグ・ノーベル賞を受賞した中垣俊之博士と、現在日本の変形菌研究をリードする川上新一博士による対談も収録。
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