勉強ができない、体力がない、集中力がない。そんなお子さんに必要なのは、スポーツクラブや塾に通わせることではなく、「からだのしつけ」かもしれません。---はじめにより「赤ちゃんと小さな子どもたちのからだに、異変が起きている」 そう感じるようになったのは、ここ10年くらいのことです。 これまでいろんなタイプの「からだのゆがみ」を持った子どもたちを診てきましたが、最近の子どもたちは、全体的に同じようなゆがみを持ち、同じような症状を訴えるようになった、と気づいたのです。 その原因はなにかと考えたら、最近の子育て事情の変化にいきあたりました。 ベターっと開脚するタイプの抱っこひも。 早い時期から始めなさいと指導される離乳食。 赤ちゃんを思う存分泣かせられない住宅事情。 保育園や幼稚園で推奨されるやわらかい靴……。 これらはすべて、子どものからだをある方向にゆがませていきます。そして、ゆがんだからだは、アトピーやぜんそく、さまざまなアレルギーなど、現代病といわれる病気につながっていきます。 子どもにいい教育を受けさせたい。将来目指す道に進める知力をつけさせたい。どの親御さんもそう願っていることでしょう。 けれども、長年子どものからだを診てきた私は、学力や知力よりも大事なのは、「からだのしつけ」だと感じています。 なぜなら、何歳からでもスタートできる勉強と違って「からだのしつけ」は子どものころにしかできず、しかも、そのしつけがその子の一生を左右するからです。 からだのしつけは、学力や知力にも大きな影響を与えます。 正しい姿勢で座り、立ち、歩くことができる子どもは、自然と集中力が高まり、ものごとに継続して取り組める子どもに育ちます。勉強もできるようになりますし、自信も高まります。 そのための「からだのしつけ」は、13歳くらいまでにおおよそ決まってしまいます。とりわけ、軟骨が固まってくる3歳までがもっとも重要です。 今の子どもたちのからだの状態を見ていると、将来、からだを壊し病気を招いていく様子が容易に想像できます。10代から膝に痛みを抱えたり、ヘルニアになったりする子どもたちも少なくありません。意外に思うかもしれませんが、ぜんそくやアトピーも「からだのしつけ」とおおいに関係しています。 そうならないための方法をお伝えするのが、骨格の調整を生業としてきた私にできることではないか。このことが、本書を執筆する動機となりました。「しつけ」とは礼儀作法を教えることですが、一度覚えてしまえばそれは当たり前のこととして身についていきます。「からだのしつけ」も同じです。乳幼児のうちに、正しい骨の位置、正しい姿勢を身につけさせれば、それは一生の財産になります。 勉強に集中する力も、ポジティブで素直な心も、からだのしつけがあってこそです。あやまった情報にまどわされず、大切なお子さんのからだを守ってあげてください。 そして、一生使える、壊れないからだを与えてあげてください。