十五年ぶりに陶工・悠吾との思い出の地、唐津を訪れた三十七歳の紫歩は、偶然に導かれるように悠吾が描いた塩沢紬の帯と出会う。女主人と語り合う紫歩の前に現れた四十五歳の悠吾は、紫歩を強引に誘う。悠吾の母の反対を理由に結婚を諦めた紫歩。紫歩が黙って去っていった理由を知りたかった悠吾。それぞれ別の相手と結婚した二人が、十五年間の埋み火をふたたびぶつけ合った…。官能文芸誌「悦」掲載の、大人の情愛短編傑作!【著者略歴】藍川京(あいかわきょう) ─ 1989年『卒業』(二見書房)で作家デビュー。現代女流官能作家の第一人者。しっとりと情感あふれる耽美的作品からハードSM系、コミカル官能まで幅広い作風を持ち、多くの読者を魅了し続けている。