偉人20人の人生の終い方を描く超濃厚な短編歴史人物譚。彼らは何を想いながら、あの世へと旅立って行ったのか。その遺言には、私たちが見失っている「日本人の原点」が生き続けている。死は、誰にでも等しく訪れる。私にも、そしてあなたにも。・西郷隆盛降り注ぐ政府軍の弾火が股と腹に命中し、覚悟を決めて…。「もう、この辺でよかろ」・豊臣秀吉幼い息子、秀頼の行く末を案じつつ病床の中で…。「なにわのことも ゆめの又ゆめ」・夏目漱石‘泣くんじゃない’とたしなめられた末娘を思いやって…。「いいよいいよ、泣いてもいいよ」・乃木希典日露戦争で多数の命を失わせた罪に、自らを罰するかのように…「乃木家は我が一代限り」・小林一茶好き勝手生きてきたことに、虚しさや後ろめたさを感じて…「耕ずして喰ひ、織ずして着る体たらく、今まで罰のあたらぬもふしぎ也」・北原白秋激しい発作が落ち着き、窓から入る新鮮な空気を感じながら…「新しい出発だ。窓をもう少しお開け。……ああ、素晴らしい」