「このままだとあなたの給料が! 家が! 車が! 差押になります。いますぐ(滞納金の)納付を!!」。その赤い封筒は、生活が苦しい人たちから「赤紙」と呼ばれ、恐れられる――。日本はすべての国民が公的医療保険を使って治療を受けられる「国民皆保険」が建前。しかし、その基礎を支える国民健康保険が、保険料未納の増加によって揺らいでいる。生活苦などで、滞納者が約2割にものぼっているのだ。老後や子どもの生活を支える国民年金も、4割以上の世帯が年金保険料を滞納している。滞納者は、病気や事故にあって初めて滞納による困難に直面することが多いが、さらに追い打ちをかけているのが、自治体による「差し押さえ」作戦だ。支えあい、助けあう、この国の基層が壊れつつある。その実相に迫った。