年末も押し迫った2016年12月27日の夜6時。東京・浜松町の東芝本社で、綱川智社長の緊急記者会見が開かれた。2015年春に不正会計が発覚して以来、この本社では何度も緊急記者会見が行われてきた。ただ、翌16年5月に急な社長交代会見があって以来、緊急記者会見はなく、7カ月ぶりだった。 普通のサラリーマンや公務員であれば28日の仕事納めを翌日に控え、年内の仕事の追い込みも終わろうとする時期だ。そうした時に綱川社長が発表したのは、「原子力事業で数千億円の損失が発生する可能性がある」という、衝撃の内容だった……。 日本経済史上空前の規模の巨額損失を発表することになった東芝。巨額損失の舞台になった子会社の米原子力大手ウェスチングハウスに対する東芝経営陣の内部統制がまったく働いていなかった、とする見方は強い。不適切な会計処理が発覚し、さらなる巨額損失が判明するなど混迷を続けている。解体、そして‘消滅’の危機に直面した背景や現状をリポートする。ベストセラー「東芝不正会計 底なしの闇」の第3弾。 <内容>・「原発で数千億円損失?」東芝またも債務超過の危機・「資産査定が大甘?」東芝・原子力事業のアリ地獄・「275億円の買収で東芝損失数千億円?」の大疑問・米原発数千億円損失なら今度こそ‘東芝解体’か ・債務超過回避へ巨人東芝 再度の大リストラへ・米テロ対策と福島原発事故で暗転した東芝原子力事業・福島事故とシェールガス革命で傾いた東芝米原発事業・東芝だけじゃない 三菱重に賠償請求66億ドルの衝撃など