なぜ「会話」ではなく「対話」なのか 「マネジャーは何も言わなくていい」はウソ 仕事を回すために必要な話の伝達は「ロジカル」が基本 最近、職場で求められる管理職のコミュニケーション能力というと部下に対する「理解」「傾聴」「育成」を強調されていますが、本来、業務にかかわるコミュニケーションに必要なのは、 「課題を特定し、なぜそれが問題なのかを共有すること」 「その問題を解決するのに、どんな方法があるかを考えること」 の2点です。 これを実現するのは、「対話」であって「会話」ではありません。「会話」は人間的な部分の心理距離を狭めるには役立ちますが、ロジカルに話を組み立て、問題の所在や解決策を考えるのは不向きです。会話とは、ビジネスシーンでは「仲良くなるためのツール」と言える。平たく言うと「おしゃべり」です。 これに対して「対話」は問題の所在や解決策を考えるために、ロジックを使い、答を出すために集約的に話を作り上げる作業です。つまり、ビジネスシーンでの「対話」とは「仕事を進めるツール」と言えます。 プレゼンとは違い、職場で当たり前にある「受け答え」は、「聞く、考える、返す」というプロセスにかけられる時間が短く、その人のコミュニケーション能力の地力が出てしまいますが、トレーニングする方法はなかなかありません。 本書は「管理職として、仕事を成功に導くため、部下やスタッフと効果的なコミュニケーションをするための対話技術」を解説するものです。 管理職なら誰もが日々経験する、現場の言葉で理解しやすい 好例と悪例の対比で、改善点がわかりやすい 特に前段階としての知識や技術を特段必要とせず、ロジカルシンキングや論理的思考がわからなくても、管理職なら誰しも出くわす、日常業務の世界の言葉で、ロジカルな対話、管理職が身につけるべき、今の時代のコミュニケーション術の全体像がつかめます。 「理屈はどうでもいいから、要するにこんな時、なんて言えばいいのか」に応えます。事例のほとんどは日常、職場でよくある対話例ですが、よくある拙い例を最初に挙げ、ポイント添削して改善例を示し、どう言えばいいのかを簡単にわかるように示しました。 管理職なら誰しもが経験しているシーンで、あと一歩、話を詰め切れなかったという感覚を覚えたことがある人なら、実感としてわかりやすい例を示しています。 「あー、そういえば、職場でこんなことあるな」という気づきから、今まで「部下に対しては指示、命令しかない」と考えていた人でも、「相手と対話してみよう」というマインドが生まれるまでをエスコートします。 本書は正解例を示すものではなく、実際に自分が相手と向き合い、相手との関係の中で成立、成熟させていく手助けとなるものです。 汎用性が高いケース事例なので、長い話を構成するときでも、一つ一つをパーツとして組み合わせて使うことで、対話目的を達成することがでます