フランス・ナンシー市に住む六十七歳のソフィーは、45年前の日本人の立山(たてやま)恭助(きょうすけ)との思い出に生きている。当時、立山は金沢市・ナンシー市姉妹都市提携の準備のために、日本の金沢市から派遣された陶芸作家であり、ソフィーはナンシー派美術館の受付嬢であった。二人はその時恋に落ちたのであった。3年後ナンシーを訪問した立山はソフィーが結婚して仕事をやめたことを知らされた。 45年後、孫のフランソワーズは偶然にも友人のミッシェルと一緒に金沢に短期留学で来ることになった。3週間の研修の間に、2人の学生は金沢と伝統工芸の魅力に触れて大きく成長する。研修も終わりに近づいた頃、フランソワーズはRitsuzanという名前の有名な陶芸家のことを聞く。そして、立山がRitsuzanかもしれないという可能性を確かめるためにホームステイ先の夫妻に連れられて卯辰山の陶芸工房を訪れる。そこにいたのはまさしく45年前に祖母のソフィーに九谷焼の皿を残して去った立山だったのである。立山はフランソワーズがソフィーの孫娘であることを知って思わず強い抱擁を禁じ得なかった。 研修を終えてナンシーに戻った孫娘から立山の消息を聞いたソフィーは、立山との間の娘セシールをクリスチャンとの子どもとして育てたのが、自分の小さな誤解から生じたことを初めて知るのであった。 独身を貫いていた立山は、矢も盾もたまらずソフィーに再会するためにナンシーに向かう。彼はそこでソフィーと再会し、セシールと初めての対面を果たし、育ての親クリスチャンの遺影に祈ることができた。 立山はソフィーの幸せな家族に接することができたことで満足して金沢に帰る。そこには気難しい立山が唯一人弟子と許した亡き妻の姪のハナが待っていた。