「清水幾太郎は関東大震災のときの自分と同じ年頃の敗戦後の生徒を前にしてこういった。自分は敗戦で、関東大震災のときの父や母のように力を落としていますが、みなさんのほうは、若いときの私のように不思議な力を感じているのではないか、と。大きな重苦しい問題に気づきながらも新しい元気でニコニコしているのではないか。皆さんの若さからくる不思議な新しい力でこの不幸な日本が再建されることのために働いてほしい、と結んだ(「巣立ち」『日本の運命と共に』)。清水にこう励まされた世代こそ戦後の復興を担った人々だった。震災後社会の教育は、清水のいう若さからくる不思議な新しい力を伸ばしていくものでありたい。(「まえがき」より)