「赤信号でも平気で渡る」「急に『うるさい!』と怒鳴られた」「私の作った料理に醤油をドボドボとかける」「『早く死ねばいいのにと、思っているんでしょ?』と言われる」…、老人からこんなことをされた覚えは、ありませんか?すると、こう考えると思います。「認知症でボケがはじまったから」「価値観が古く、新しいことを受け入れない頑固者だから」「若い人へのひがみが多くて、性格が悪くなっているから」確かに、中にはこのような老人もいますが、圧倒的多数の老人は、全然別の原因により、困った行動の数々を起こしていたのです。しかも、老人になることで誰でも起きてしまう現象によります。本書では、現役の医師であり医学博士の著者・平松類先生が、10万人以上の患者と接してきた経験をもとに(その多くが老人)、老人の困った行動の原因を明らかにし、解決策も提案しました。例えば、赤信号でも平気で渡るのは、「周りのことを考えずに、車も勝手に止まってくれる」と勘違いをしているのではなく、「瞼(まぶた)が下がってくるうえ、腰も曲がっているので、信号機がある上方がよく見えない」など、体の状態が原因となっており、性格やボケなどとは関係がないのです。このように原因を知ることで、イライラすることも減りますし、どうすればいいのかも考え、実行できます。例えば、周囲は「信号が赤であることを伝える」「運転中に道路に老人がいたら、スピードを落とす」老人本人としては「瞼が下がらないように目のカンタンな運動をする」「瞼が下がる原因となるコンタクトレンズを長時間使わない」など、簡単なことで済みます。本書は、今後絶対に訪れてしまう「超高齢化社会」を生き抜くための‘処方箋’です。